浄化槽とは?

ここでは、
「浄化槽とは何か?」について
ご紹介します。

浄化槽って何!?

浄化槽は、生活に伴って排出される汚れた水
(水洗便所汚水、台所排水、浴室排水、洗濯排水、洗面排水など)を処理する施設です。
たとえばあなたが新しく家を建てる場合、
必ず排水処理設備が必要になります。
なぜなら、洗剤が混ざった水や排泄物が
混ざった水がそのまま川や水路に流されて
しまったら、環境が汚染されてしまいます。
そのため、生活に伴って排出される汚れた水を
処理する必要があり、
その役割を担うのが「浄化槽」です。

浄化槽検査員がくわしく解説
さまざまな排水処理

まず建物から発生する排水には、大きく分けて以下のようなものがあります。

  • 汚水水洗トイレ(簡易水洗を除く)からの
    し尿などの排水
  • 生活雑排水台所やお風呂、
    洗濯などの生活排水
  • その他雨水など雨どいなどからの
    排水など

このうち、汚水生活雑排水
放流する際には処理が必要となります。

したがって、これらの排水が発生する建物には、必ず排水処理設備が必要となります。
排水処理の方法は、

  • 1浄化槽を設置して処理する方法
  • 2近くの農業集落排水施設などに
    連結して処理する方法
  • 3近くのコミュニティ・プラントに
    連結して処理する方法
  • 4近くの下水道に連結して処理する方法

のいずれかになり、必ずどれかを
整備することになります。

そのため、公共下水道が
整備されていない地域や、近くに連結できる
下水道やコミュニティ・プラント、
農業集落排水施設などがない場所の建物は、
浄化槽を設置する必要があります。

浄化槽の種類

浄化槽には、処理する対象によって
大きく2種類あります。
汚水(水洗トイレのし尿など)だけを処理する
単独処理浄化槽(みなし浄化槽)と、
汚水と生活雑排水をいっしょに処理する
合併処理浄化槽です。
平成12年度の浄化槽法の改正により、新しく
浄化槽を設置する場合は合併処理浄化槽の
設置が義務づけられているほか、
既設の単独処理浄化槽も、合併処理浄化槽への
転換の努力義務が定められています。
単独処理浄化槽(みなし浄化槽)を利用している
ご家庭は、合併処理浄化槽への転換を
ご検討ください。

合併処理浄化槽

単独処理浄化槽
(みなし浄化槽)

合併処理浄化槽の
メリット

メリットその1
環境保全に
貢献できる!!

適正に管理された合併処理浄化槽は、汚水と生活雑排水の汚れ(汚濁)を10分の1以下に減らすのはもちろん、個別処理であることから自然の浄化作用を効果的に利用でき、河川や水路などの水質向上や水量の維持に貢献できます。

メリットその2
災害に強く、
災害対応力が高い!!

浄化槽は耐衝撃性に優れた素材で作られており、個別に設置されるため、地震などの災害時の被害が少なく迅速な復旧対応ができます。また、短期間でどこにでも設置ができるため、東日本大震災では応急仮設住宅にも活用されました。

メリットその3
役割分担で
経済的にも合理的!!

人口密度の高い都市部の場合は下水道が効率的ですが、それ以外の地域では、人口変動にも柔軟に対応でき、より効率的に整備できる個別処理の合併処理浄化槽などが経済的にも合理的です。

浄化槽のしくみ

水の汚れの原因となるものには、
固形物と溶解性物質(汚水中に溶け込んでいる
有機物質)とがあります。
浄化槽では、固形物は沈殿・浮上させることで分離し、貯留します。
そして溶解性物質は、水中に棲む微生物の
働きを利用して浄化する仕組みになっています。

家から出るいろいろな
排水が流れ込みます

家から出るいろいろな排水が流れ込みます
浄化槽のしくみ

01 02一次処理槽

「一次処理槽」では、汚水中の浮遊物(固形物)などを分離・貯留し、「嫌気性微生物(※1)」が汚水中の有機物を分解・浄化します。第一室から第二室に汚水が移り、同様の手順で浄化されます。
※1 嫌気性微生物:有機物を分解するスピードは遅いですが、空気(酸素)のないところでも働くことのできる微生物。

03二次処理槽

「二次処理槽」では、ブロワ(送風機)によって汚水をばっ気(※2)しながら、「接触材」や「担体」などに付着する生物膜の働きを利用して、汚水中の有機物をさらに浄化しています。
※2 ばっ気:液体と空気を接触させて、液体に空気中の成分(酸素等)を吹き込むこと。

04ブロワ(送風機)

「ブロワ」は空気を好む「好気性微生物(※3)」を元気にして、浄化をうながす重要な装置です。どんどん空気を送り込み「二次処理槽」の「好気性微生物」を働かせ、汚水をさらに浄化させます。
※3 好気性微生物:空気(酸素) を好む微生物。酸素が十分にあるところでは、有機物を分解するスピードが早いのが特長です。

05沈殿槽

「沈殿槽」では、浄化された処理水の中の浮遊汚泥を沈殿分離させ、きれいな処理水のみを消毒槽へ送ります。また、沈殿分離した汚泥などを一次処理槽へ移送します。

06消毒槽

「消毒槽」では、各槽で浄化された処理水を、さらに塩素消毒し、衛生的に安全な水として放流します。

浄化槽のしくみ

浄化槽の管理について

浄化槽の構造は建築基準法で定められており、
正しい使い方と適正な維持管理(法定検査、
保守点検、清掃)を行えば
下水道と同程度の
機能を発揮することができます。
しかし、使い方を誤ったり、維持管理を適正に
行わないと、
悪臭などの公衆衛生上の問題を
おこしたり、浄化槽の放流水が河川や
水路などの水質を悪化させてしまいます。

浄化槽の保守点検について

浄化槽は微生物が働くことによって、
水を浄化する装置です。
微生物が働きやすい状況を保ち、浄化槽を
正しく機能させるためには適正な管理が
必要となります。
そこで浄化槽のいろいろな装置が正常に
働いているかを点検し、各装置や機械の調整・
修理をするほか、
スカム(浮きカス)や汚泥の状況を確認し、汚泥の調整を実施したり、
清掃時期の判断、消毒剤の補充などを
定期的に実施しなければいけません。
これが保守点検です。
浄化槽の保守点検の作業は、技術上の基準に
従って行わなければなりませんが、
この基準を守るには専門知識や技能・経験、
さらに専用の器具や機材が必要なため、
専門業者に委託できることになっています。
浄化槽の保守点検は、四日市市以外の市町では
三重県知事の登録を受けた「保守点検業者」、
四日市市については四日市市長の登録を受けた
「保守点検業者」へ依頼してください。

浄化槽検査員がくわしく解説
浄化槽の保守点検に関する法律や決まり

POINT01

保守点検を委託する業者は三重県の四日市市
以外の市町では、
「浄化槽保守点検登録申請」を行い、三重県知事の登録を受けた業者に
限定されます。
【三重県条例第26号「三重県浄化槽保守点検
業者の登録に関係する条例」】
また、四日市市では、四日市市長の登録を受けた業者に限定されます。
【四日市市条例第44号「四日市市浄化槽保守点検業者の登録に関する条例」】

POINT02

新設浄化槽の最初の保守点検は、浄化槽の使用開始の直前から行うことになっています。
【環境省関係浄化槽法施行規則 第5条第1項】

POINT03

浄化槽は、槽の種類、大きさにより保守点検の回数が定められています。
【環境省関係浄化槽法施行規則 第6条第1項〜第4項】
環境省令が定める保守点検の回数
保守点検の回数は、通常の使用状態において、
次の表に掲げる期間ごとに1回以上とする。

合併処理浄化槽の場合

処理方式 浄化槽の種類 期間
分離接触ばっ気方式、
嫌気ろ床接触
ばっ気方式
または
脱窒ろ床接触ばっ気方式
処理対象人員が
20人以下の浄化槽
4ヶ月
2. 処理対象人員が
21人以上50人以下の
浄化槽
3ヶ月
活性汚泥方式 1週間
回転板接触方式、
接触ばっ気方式
または
散水ろ床方式
1. 砂ろ過装置、
活性炭吸着装置
または凝集槽を
有する浄化槽
1週間
2. スクリーン及び
流量調整タンク
または流量調整槽を
有する浄化槽
(1に掲げるものを
除く。)
2週間
3. 1及び2に掲げる
浄化槽以外の浄化槽  
3ヶ月

みなし浄化槽(単独処理)の場合

処理方式 浄化槽の種類 期間
全ばっ気方式 処理対象人員が
20人以下の浄化槽
3ヶ月
2. 処理対象人員が
21人以上300人以下の
浄化槽
2ヶ月
3. 処理対象人員が
301人以上の浄化槽
1ヶ月
活性汚泥方式 1週間
分離接触ばっ気方式、
分離ばっ気方式
または
単純ばっ気方式
処理対象人員が
20人以下の浄化槽
4ヶ月
2. 処理対象人員が
21人以上300人以下の
浄化槽
3ヶ月
3. 処理対象人員が
301人以上の浄化槽
2ヶ月
散水ろ床方式、
平面
酸化床方式または
地下
砂ろ過方式
6ヶ月

POINT04

浄化槽管理者は、保守点検の記録を3年間
保存しなければなりません。
【環境省関係浄化槽法施行規則 第5条第8項】

浄化槽の清掃について

浄化槽に流れ込んだ汚水は、
沈殿・浮上といった物理的作用と、微生物の
働きによる生物的作業によって浄化されます。
この過程で汚泥や微生物の食べかすである
スカムが堆積していきます。
これらが溜まりすぎると、浄化槽の機能に
支障をきたし、微生物の働きが悪くなって
十分な処理ができなくなったり、
悪臭の原因となったりします。
そこでスカムや汚泥を引き抜いたり、
機器類の洗浄、清掃をしたりする作業が
定期的に必要となります。
これが浄化槽の清掃です。
浄化槽の清掃作業は、市町村長の許可を受けた
「浄化槽清掃業者」に依頼して
実施してください。

浄化槽検査員がくわしく解説
浄化槽の清掃に
関する法律や決まり

POINT01

浄化槽の清掃は年1回以上実施することが
義務づけられています。
【浄化槽法第10条】

POINT02

浄化槽が全ばっ気方式のみなし浄化槽(単独処理浄化槽)の場合は、
おおむね6ヶ月ごとに1回
以上の清掃の実施が
必要と定められています。
【環境省関係浄化槽法施行規則 第7条第1項】

POINT03

浄化槽の管理者は、清掃の記録を
3年間保存しなければなりません。
【環境省関係浄化槽法施行規則 第5条第8項】

浄化槽の日常の管理
(浄化槽の正しい使い方)

浄化槽の使い方を誤ると、浄化槽の故障や
機能低下の原因となります。
浄化槽法では、浄化槽の使用に関する準則で、
浄化槽をお使いになる方が
守らなければ
ならないことを定めています。
ここでは、正しい使い方と
日ごろ注意しておくべきことを説明します。


浄化槽の正しい使い方

トイレの水は、
毎回きちんと
流す!!

流す際の水量が十分でないと、途中でトイレがつまってしまったり 、浄化槽の働きが悪くなってしまいます。使用したあとはその都度、 決められた量を流しましょう。

トイレットペーパー
以外の異物を
流さない!!

トイレには、タバコの吸い殻、生理用品(雑物、ゴム製品等)は絶対に流さないでください。また、台所では、野菜くず、てんぷら油など流さないようにしましょう。

薬品・洗剤は
適量で正しく
使おう!!

洗浄剤・洗剤・殺虫剤などで、浄化槽の正常な機能を妨げるものは流さないでください。また、流しても大丈夫な洗剤や入浴剤などについても使いすぎず、大量に流さないよう注意しましょう。

浄化槽の
ブロワの
電源は
絶対に切らない!!

ばっ気型の浄化槽は電気で動いているため、電源を切ると微生物が死んでしまい、処理ができなくなってしまいます。送風機(ブロワ)の電源を切ったり、誤って電源プラグを抜いてしまわないようご注意ください。

マンホール・
浄化槽の
フタは
しっかり閉める!!

マンホール・浄化槽のフタは、臭気トラブルや槽内への転落事故の防止のため、必ず閉めておきましょう。

マンホールの
上部・
周辺には、
物を置かない!!

浄化槽のマンホールの上に物や車などが置いてあると、保守点検・清掃や法定検査ができなくなるのに加え、その機能に支障を及ぼすおそれがあります。浄化槽の上部や周辺には、物を置かないようにしましょう。

浄化槽に関する注意

管理の記録は
しっかり
保存!!
(最低3年間)

保守点検・清掃及び法定検査の記録は、紛失しないようにまとめてわかりやすい場所に保存しましょう。
●保守点検記録票 (3年間保存)
●清掃記録票 (3年間保存)
●法定検査結果書

故障・異常が
発生したら、
専門業者へ!!

たとえば「モータの異常音がする」「悪臭が発生している」「放流水に濁りがある」など、故障や異常が発生した場合は早めに専門業者に連絡して適切に処置するようにしましょう。